ブログ始めました。
投稿ひとつめ。とりあえずプレ公開時のフロントページの内容をこちらへコピー。
本日は令和6年3月15日。天赦日に一粒万倍日が重なったとっても縁起のいい日だそうで、何かを始めるには最高なんだそうです。なので、このページもとりあえずプレ公開ぐらいはしたいなぁ、と。大阪工業英語研究会(OSTEC)に寄稿した文をちょっと編集して載せてみます。
「技術英語」ってなんでしょう?私は、英語の technical writing と同義だと捉えています。昔の人が technical writing という言葉を日本語化した時、この「技術英語」という表現に落ち着いたのではないかと。直訳だと「技術的書き方」になりますが、なんだかこれじゃぁピンと来ない。漢字四文字で「技術英語」と呼んだ方がカッコいい、なんてことじゃぁないかと。
じゃぁ、テクニカルライティングって何?単純な話、「技術関連の文を書くこと」や「論理的な説明を文字ですること」はすべてテクニカルライティングです。「Wi-Fiルータが新しくなるから、社員向けに接続の仕方をまとめておいて」とか、「来月発売の新型の特徴、セールスが使いやすいように箇条書きにまとめておいて」とか、技術関連の情報伝達であればみんなテクニカルライティングです。広い意味では、駅からオフィスまでの道順の説明だって、テクニカルライティングです。
「技術英語」っていうと、なんだか「他とは違う特別な英語」って感じがしちゃいますよね?でも、実際はそうじゃないんです。守らなければならないルールがあるわけではありません。「こういう風に書くからテクニカルライティングだ」「このルールを知らないと恥ずかしい」というような、「テクニカルライティング道」みたいなものは存在しません。技術情報を扱った文や、論理的な説明である限り、どんな書き方をしてもテクニカルライティングです。そういえば、私の師匠の Larry Brouhard は、著書の中で「現代では、誰もがテクニカル・ライターなのだ」って言ってました。
誰がどんな風にやっても、テクニカルライティングはテクニカルライティングなんですが…でも、上手下手はあります。伝えたいことが伝わらないのは困ります。伝わるのに時間がかかるのも困ります。間違ったことが伝わるのは、一番困ります。「どうやったら上手く伝わるか」を考えるところに、人が英文を書く面白さがあり、技があります。
例を見てみましょう。ありがちな和文と、ありがちな英訳です。
- この場所での裸火の使用は危険ですので避けてください。
- Use of open flames in this place should be avoided because it is dangerous.
和文も英文も、文章として成立してはいますが、情報伝達の効率は良くありません。情報の整理が十分でなく、全体に回りくどい表現になっています。
また、英文では should が使われていることも問題です。これでは「禁止」ではなく「できれば避けて」ぐらいのニュアンスになってしまい、正しく情報を伝えているとはいえません。
無駄を削除し、伝えるべきことをシンプルな形で伝えると、次のようになります。
- ここでは裸火は禁止です。
- Do not use open flames here.
あるいは、注意標識の形を取り、次のようにしてもよいでしょう。
- 裸火禁止
- No open flames
ただ訳すのではなく、情報を整理して、分かりやすい英語で表現しなおす。それが、上手なテクニカルライティング、上手な技術英語です。大事なのは、読み手の負担を減らし、情報を素早く正しく伝えるように心を配ること。上手なテクニカルライティングは、人に優しいライティングなのです。
私の技術英語歴は、いつの間にやら36年。そのうち、講師歴も20年以上。それだけやってればある程度有益な情報発信はできるんじゃないかと、とりあえずホームページ作ってみました。上手な技術英語の実例とか、昔悩んだこととか、世の中にはびこっている勘違いとか、いろいろ紹介していきたいと思います。
どうぞよろしくお願いいたします。