ファーストネームはファーストでしょ
Shin Hirano なのか、Hirano Shin なのか、それが問題だ。
英語で人名を表記するときは、名前が先、姓が後。例えば「平野信輔」を英語で書くなら、Shinsuke Hirano と書く。私は、そんな風に中学校で教わった世代です。ですが、最近では「日本の人名はそのまま『姓・名』の順で表記する」と学校で教えているようです。時代は変わるなぁ。
といっても、「英語で書く時も、日本人の場合は姓が先」というのは別に新しい話ではなくて、何十年も前からそういう考え方はありました。私が大学生の頃は、「日本人の人名は基本的に名・姓の順で表記するが、歴史上の人物や芸能人の場合は姓・名の順とすることも多い」と習ったように思います。
通じる限りはどんな表記だっていいとは思いますが、「こっちだけが正しい」という思い込みにつながってしまうことはちょっと懸念されますね。だって、「日本の人名は姓を先にするのが正しい」ということになってしまうと、shin-hirano.com も問題ありということになってしまう(笑)。
実際のところ、私は英語として標準的な語順である「名・姓」の表記の方が良いと思ってます。理由は2つ。ひとつは、英語に対して敬意を払いたいということ。もうひとつは、姓名の誤認につながりにくいこと。
ひとつめの理由は多分に感覚的なもので、「英語は自分にとって他人様の言語。有難く使わせてもらっているので、敬意を払うべき」ということです。日本語流を英語の中に持ち込むのは、なんだか英語を侵食しているようで失礼な気がしてしまうのです。
ちょっと逆を考えてみてください。英語圏の人と日本語で話している時に、自分の名前を名・姓の順で言われたらどうでしょう。「お名前は信輔平野様ですね」と言われたら、私はちょっと居心地の悪さを感じます。なんだかもやもやします。でも、英語で話している時だったら、"You are Mr. Shinsuke Hirano." と言われても何の違和感もありません。こんなこともありますから、日本語では日本語で普通の語順、英語では英語で普通の語順、というようにしたいわけです。
でもまぁ、英語圏の方が日本語で自己紹介する時は、大抵は名・姓の語順のままですね。普通に日本語の中に英語の語順を持ち込んでいます。逆に姓・名の語順で自己紹介されると、頭の中が混乱するかもしれません。日本人は日本語と英語で姓名の順を変える、英語のネイティブスピーカーは日本語でも英語でも同じ順のまま、という状況は、よく考えると変かなぁとも思います。とはいえ、それが敬意を欠いているという感覚もなぜかありませんが。理屈じゃなくて、慣れなんでしょうかね(笑)。
ふたつめの理由は、英語は国際語であり、日本語はそれに比べるとマイナーな言語である、ということに関わっています。英語を学んだり英語に触れたりしたことのある人(つまり英語での人名の語順を知っている人)は世界的に見ても多数派ですが、日本語を学んだり日本語に触れたりしたことのある人はそれに比べればはるかに少ないものです。「英語での人名表記は名が先」というのは世界の常識と言っていいでしょうが、「日本人の人名表記は姓が先」というのはそうではないはず。そんなわけで、英語を地球全体の共通語として運用するのであれば、姓名の表記順も統一しておいた方が便利だよなぁ、というのが平野の意見。
と、ここまでややこしいことを書いてきて、ふと気づいてしまいました。名は英語では first name。first なんだから最初に書かなきゃおかしいよなぁ。なんだ、そんな単純な話だったか(笑)。