"My name is ~" はもう古い?
「ネイティブはそんな言い方しないよ」って話題、好きなひと多いみたいですね。
今回は、英語で自己紹介するときの話です。最近、「"My name is 誰それ" とやるのはもう古い」とか、「ネイティブはそんな言い方はしない。"I am 誰それ" というのが普通」という意見を目にします。テレビ番組で解説者がそういう趣旨のことを言っていたのも、実際に見ました。学校でもそう教えているとか。ホントか、それ?
もしこれを学校で教えているなら、由々しき事態だと思います。"My name is" は、ちっとも古くないし、変な英語でもない。試しに YouTube でネイティブの人たちの動画を見てみるといいです。多くの人が、自己紹介で "My name is ~" と言ってます。どちらかというと、"I am ~” の方が少数派。
この二つはどちらも普通の英語表現なんですが、使い方が違うんです。どちらか一方だけが常に正しい、なんてことはありません。使い方を間違えれば、どちらも不自然な響きになります。大雑把にいうと、次のような使い分けになります。
- My name is ~: 完全に初対面の場合
- I am ~: 相手が自分の名前を既に知っているが会うのは初めての場合
理由は簡単。相手が自分の名前を既に知っている時、「私の名前は~です」と言ったらおかしいですよね。逆に、自分の名前すら知らない人に、「私が~です」と言うのも変です。
"I am ~" が合うのは、たとえば授賞式などのシーン。司会の人に名前を紹介してもらってから登壇して挨拶するという段取り、良くありますよね。この場合はすでに聴衆に自分の名前が伝わっているのですから、"My name is ~" はおかしいです。声のトーンによっては、「司会の人が言った名前は間違いで、本当はこうです」なんて感じに聞こえてしまうこともあるでしょう。他には、メールのやり取りしかしたことがない相手に zoom で初めて顔を見せる場合とか、作家さんなど名前は良く知られているが顔が知られていない有名人が初めてYouTubeで動画を公開する場合とかも、合います。
"My name is ~" が合うのは、全くの初対面でちょっとフォーマルな状況。新年度に新クラスで自己紹介をし合うとか、入社の挨拶とか、一般人が初めて YouTube で動画を公開する場合とかになります。「まだ名前が知られていないような立場ですが」というニュアンスが出せますから、謙虚な感じにもなりやすいと私は考えています。"My name is ~" が合う状況なのに "I am ~" を使ってしまうと、最悪の場合は「知らねーよ、そんな奴」とか「この人、有名人のつもり?」というような反応をされることもあり得なくはないです。(そこまでの反応になる場合は、態度や声のトーンにも問題がありそうですが。)
映画なんかを見ていると、初めての出会いでフランクな状況だと、"My name is" は言わず名前だけを言っていることが多いようです。"Shin Hirano. Nice to meet you." って感じですね。
「"My name is ~” が不自然だ」という誤解は、日本語との混同が原因ではないかと思います。日本語で自己紹介するとき、「私の名前は~です」という日本人はあまりいませんよね。普通は「~と申します」や「~です」と言うはずです。「『私の名前は~です』は不自然」という意識があるので、「英語の "My name is ~" も不自然」と勘違いしてしまったのではないかと、推察しています。というか、自分が昔そう勘違いしてたんですが(笑)。
ということで、下のような英語と日本語の対応で使い分けるようにすると、だいたい当たります。
- My name is ~: (私は)~と申します。/~といいます。
- I am ~: (私が)~です。/~でございます。